2019年4月15日(月)、70seeds株式会社のみなさんと一緒にイベントを開催しました。テーマは「採用活動とPRの幸せな関係」。
70seeds株式会社代表取締役 岡山史興さんがファシリテーターを務め、株式会社ヤマチク専務取締役 山崎彰悟さん、そして弊社代表 大島悠が登壇しました。
左から大島悠(弊社代表)・山崎彰悟さん(株式会社ヤマチク専務取締役)・岡山史興さん(70seeds株式会社代表取締役)
熊本県の小さなメーカーが、新卒採用に成功した理由
今回のゲスト、山崎さんが専務取締役を務めるのは、国内で唯一、国産竹製のお箸を製造している株式会社ヤマチクさん。熊本県の老舗ものづくりメーカーで、山崎さんは3代目になるそうです。
山崎さんにおうかがいしたかったのは、この「採用」にまつわるお話。ヤマチクは十数名の小さなメーカーながら、3年前、初めての新卒採用に成功していました。
ヤマチクが初めて新卒採用をした時の話。
採用活動をされている事業者さんに、少しでも勇気を与えられればうれしいです!
「竹の、箸だけ。」の零細メーカーが、はじめて新卒採用に挑んだ話。|山崎彰悟@箸おじさん @YamasakiShogo|note(ノート) https://t.co/d63PudrkXY
— 山崎彰悟@箸おじさん (@YamasakiShogo) April 10, 2019
この結果はまさに、PR=Public Relationsの地道な積み重ねにほかなりません。
イベントではあらためて、当時の会社の状況についてお話いただきました。
箸を作るにはいくつもの行程があり、完全分業。誰でも知っている大手ブランドに商品を提供しているにも関わらず、ヤマチクの社員さんたちは、自分たちが作った箸がどこで売られているかを知らない人がほとんどだったそう。
そこで山崎さんは、ヤマチクの製品が有名ブランドのお店で陳列されている様子を写真に撮影し、こまめに社員のみなさんに伝えることに。すると少しずつ、みなさんのモチベーションが上がっていったそうです。
その後、山崎さんは同社初となる新卒採用に取り組みます。(詳しい顛末についてはご紹介したnoteをぜひ読んでいただきたいです!)
それにしてもなぜ、「絶対ムリ」と周囲の人から言われていた採用活動が、こんなにもうまくいったのでしょうか。
山崎さんのお話から感じた理由は2つあります。
1つは、「労働者を選ぶ」上から目線ではなく、「いかに若い人たちに選んでもらえるか」を考え抜いた発信をされていたこと。
もう、企業が自由に人を選ぶ時代は終わったのです。だからこそ、一社だけ採用の姿勢が違ったヤマチクさんに、高校生からの注目が集まったのでしょう。
そしてもう1つは、会社の「現在・過去・未来」をリアルに、直球で伝えていたこと。
- 現在:いまどんなことに取り組んでいるか
- 過去:これまでどんな努力を積み重ねてきたのか
- 未来:これからどんな未来を描いているのか
「そんなの当たり前じゃん……」と思われるかもしれませんが、この3つの要素をすべて、具体的な事実に基づいてシンプルに、かつ相手に届くように表現できている企業は、思いのほか少ないのではないでしょうか。
採用と社内コミュニケーション、すべてが大事な「PR」
こちらは、ヤマチクさんの「現在」を紹介する自社ムービーです。
このムービーに出てくる方は、全て社員のみなさん。ヤマチクに勤める皆さんの仕事風景から普段の生活まで、リアルな姿が垣間見えます。
社員さんも含め全員で意見を出し合い、試行錯誤して出来上がったものだそうです。
やはり社員も含めた全員が、自分の会社に愛着や誇りを持つことが大事、と山崎さんは言います。
……ここで、もしかしたら「あれっ、いつの間に採用から社内コミュニケーションの話になったの?」と感じている方もいるかもしれません。
しかし、ここにはとても大きな意味があります。たとえ若手を採用できたとしても、共に働く人たちが、自社の仕事に愛も誇りも持っていなかったら、どうなるか……?
採用と社内コミュニケーションは、表裏一体なんですよね。
社員一人ひとりが、会社の強みなどの「自社らしさ」を理解しているか。それらに対して愛着や誇りを持てているか。「人に言いたくなる」「誰かにすすめたくなる」気持ちがあるか。
採用だけに限らず、こうした「社内の基盤」が、自社発信の大切なベースになっていきます。
ワークショップを通じて自社発信のきっかけをつかむ
さて。今回のイベントの重要なキーワードである「“自社らしさ”をベースにした発信」。
言葉だけで理解するのは簡単ですが、「とはいっても、まずはどこから手をつけたらいいの?」と悩んでいる経営者や、広報担当者の方も多いのではないでしょうか。
イベント後半では、70seeds・岡山さんのファシリテートのもと、自社発信のヒントを見つけるワークショップを実施しました。
2人1組で聞き手・話し手に分かれ、「自社のオリジナルストーリー」をひもといていきます。
岡山さんから、自社らしさを語るうえで欠かせない「ストーリーの見つけ方」の簡単なレクチャーを受けた後、ワークスタート。
提示されたヒントを参考に、キーワードを見つけてはひたすら付箋に書き出し、ワークシートに沿ってグルーピングしていきます。
今回はぎゅっと短縮した時間で実施したこともありますが、やってみるとなかなか難しいものです。キーワードを出すのに、苦戦されている方もいらっしゃるようでした。
みなさんそれぞれ、「自社らしいストーリーのヒント」が見つけられたでしょうか。
「自社らしさ」の発見、ぜひ自社内で実践を
「採用活動とPRの幸せな関係」をテーマにした今回のイベント。トークセッションやワークショップを通じて、今後の採用活動や広報活動に活かせるヒントを持ち帰っていただけたならうれしく思います。
参加者のみなさんからは、「地方企業の話を聞ける滅多にない貴重な機会だった」「ワークショップを自社に持ち帰って早速やってみたい」との声をいただきました。
平日の夜にも関わらずご参加いただいたみなさん、ありがとうございました!
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-Special thanks-
株式会社ヤマチク
70seeds株式会社
-編集協力-
Natsuka Oinuma
Haruka Sato